AGF2023出展記念にビーズログ・アニメイトタイムズにて公開した書き下ろしSSを公式HPにて掲載!
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「世界に溶け込んで -AGF 2023 ver.-」
カラーレーション本部によって実施が決定した宣伝施策のイベント。
永久と未來は、当日着用する衣装の合わせにやってきていた。
衣装部屋に入るなり、永久はラックにかかった色とりどりの衣装に駆け寄る。
「わあ、かっこいい衣装がたくさん……!」
「可愛いのばっかだよな」
「未來くんの衣装、どれ?」
「俺のはー……これ!」
ラックにかかった自分の衣装を手に取る未來。その衣装を見て、永久は目を輝かせる。
「すっごくかっこいい! 未來くんってかんじ!」
「そうかぁ?」
「うん、うん。着たところ、はやく見たいな」
「おう。瀬文のはどんなんだっけ?」
「俺は……」
今度は永久がラックにかかった衣装を手に取る。が、一式を見て不安な表情を浮かべた。
「えっ、サングラスとかかけなきゃいけないみたい……」
「へー! いいじゃん!」
「よくないよ……! サングラスって、怖い人たちがつけるものでしょ? オラオラってしなきゃいけないんでしょ?」
「いや、認識歪みすぎだろ。こういうのはオシャレでつけることもあるんだよ。心配すんな!」
「でも、俺がつけたら調子乗ってるって思われないかな……誰かにボコボコにされない?」
「されねえよ。もしんなことして来るヤツがいたら俺がぶっ飛ばしてやるから安心しろ」
「……うん」
「とりあえず着てみようぜ! なんかあればそっから考えりゃいいじゃん!」
「そうだね。わかった」
ふたりで衣装を着用する。
もじもじとする永久を見て、未來は大きな歓声をあげた。
「うおおお! 瀬文、めちゃくちゃ似合ってんじゃねえか!」
「う……恥ずかしいよ……変じゃないかな……」
「全然変じゃねえよ! すっげーかっこいい!」
「……ほ、ほんと?」
「おう! いつものおまえと違う雰囲気で良い感じだよ! ファンのみんなも喜んでくれんじゃね?」
「……それならうれしい、けど」
「ちょっと写真撮ってやるからそこ立てよ」
「え、いいよ撮らなくて」
「これも思い出だから! とりあえずそこ立て!」
「うう……」
言われた通りに、壁際に沿って立つ永久。棒立ちで立つ永久に、未來が声をかける。
「瀬文、なんかポーズとれよ」
「そういうの苦手……」
「いいから」
永久は考えた挙句に、両手を真上にあげて、伝説の木のポーズを再現した。
「はい、どうぞ」
「いやそのポーズだけはやめろ! 懐かしいけどさ!!」
「これしかわからないよ……」
「それやると全部がダサくなる! もっとラフな感じでいいからさぁ」
「わかんないよぉ……」
「んじゃ俺の真似しろ。ほれ!」
未來が腰に手をあてて適当にポーズをとる。永久はそっくりそのまま、それを真似した。
「おお、いい感じだ! サマになってるぞ瀬文!」
「ほ、ほんと……?」
「そのまま顎をちょっと上にあげてみろ! 目線はこっちで!」
「……こ、こう?」
「そうだ! かっけえぞ瀬文!!」
未來は何度も褒めながらシャッターを押していく。
最初は恥ずかしがっていた永久も、未來の励ましによって、だんだんとリラックスした様子でポーズを決めるようになった。
「瀬文、次はサングラスに手を当ててみろ!」
「……こう?」
「そう。んで、ちょっと下にずらしてみ」
「……はい」
永久が言われた通りにサングラスをずらす。
「おお、最高だ! そのまましゃがみこんでくれ。片膝立てて、こんなふうに」
「うん」
永久がしゃがみこんだ瞬間、未來は素早くシャッターを切る。
「あ、あの……このポーズ、ヤンキーみたいじゃない?」
「んなことねえよ。超イケてるから見てみ」
撮影を終えた未來は、端末の画面を永久に見せる。そこには、ファッションモデルのような出たちでカメラに映るの姿があった。
「えっ、これ本当に俺……!?」
「そうだ。かっけーだろ」
「すごい……どこかのモデルさんみたい……」
「瀬文はスタイルも顔も良いからな。ちょっとそれっぽく映るだけで、サマになる!」
「……未來くんが上手に撮ってくれたおかげだよ」
「謙遜すんなって! おまえはもっと自分に自信持っていいんだよ」
「そんな俺なんかちっともかっこよくないし、性格もこんな感じだし」
「だーもうやめろネガティブ! ……あ、わかった。瀬文がかっけーってこと、今証明してやる!」
「へ?」
「ちょっと待ってなー」
鼻歌をうたいながら、未來は端末を操作する。
永久はそれを不安そうに見ていた。やがてピコン、と軽快な音と共に未來が「よし」と呟いた。
「? なにしたの?」
「じゃーん。瀬文のさっきの写真、SNSにのせてみた!」
画面には、選抜メンバーの公式SNSが表示されており、未來の投稿によって永久の写真が全世界に公開されていた。
「えっ……ええええええ!?」
「見てみろよ、すっげー勢いでコメントきてる!」
「なな、な、なんて……」
「めっちゃかっこいい、永久くんと結婚したい、こういう雰囲気も大好き、だってさ」
ファンからのコメントがひっきりなしに投下される。
永久はそれを見て、恥ずかしそうに唇をかんだ。
「う、恥ずかしいよ……」
「なんでだよ。これが現実だ!」
「……なんか、むずがゆい」
「だはは! こういうときは素直に嬉しい! でいいんだよ」
「じゃ、じゃあ、未來くんのも載せよう。俺ひとりじゃなくて!」
「おう、いいぜー。んじゃ一緒に映るか!?」
「うん!」
未來は嬉しそうに頷く永久を見て、ふと笑った。
(こうやって、どんどん世界に溶け込んでけ。おまえがそれを当たり前だと思うようになるまでずっと付き合うから)
永久が不思議そうに、未來の顔を覗き込んだ。
「未来くん、どうしたの?」
「なんでもねえ。んじゃ行くぞ、せーのっ」
カメラのシャッター音が鳴り響くと同時、画面には寄り添い合って笑顔で映る二人の姿があった。
END